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飲酒と健康に関する初めてのガイドライン

2024.03.01

おつかれ生――。そんなコマーシャルが流れるなか、厚生労働省が国として初めての飲酒に関するガイドライン「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」を公表しました。
飲み過ぎは体に悪いことは誰もが知っていますが、飲みすぎなくても一部の病気のリスクは上がることなど、飲酒と健康のかかわりがシンプルにまとめられています。

年齢と飲酒の関係

ガイドラインで繰り返し強調されているのは、年齢・性別・体質などによって飲酒の身体への影響は変わること。
たとえば、歳を重ねるにつれてお酒に弱くなったと感じている人もいらっしゃるかもしれません。それは、「高齢者は若い時と比べて、体内の水分量の減少等で同じ量のアルコールでも酔いやすくな」るから、とのこと。なおかつ、飲酒量が増えると「認知症の発症の可能性が高ま」るので要注意です。

逆に若い人はといえば、「10歳代はもちろん20歳代の若年者についても、脳の発達の途中であり、多量飲酒によって脳の機能が落ちるとのデータもある」そうです。ちょっと怖いですね。

性別と飲酒の関係

男性と女性で比べると、女性のほうがお酒に弱い印象もあると思います。
ガイドラインでは、一般的に女性のほうが「体内の水分量が少なく、分解できるアルコール量も男性に比べて少ないことや、エストロゲン(女性ホルモンの一種)等のはたらきにより、アルコールの影響を受けやすい」と説明。
そして、「女性は、男性に比べて少ない量かつ短い期間での飲酒でアルコール関連肝硬変になる場合がある」など、より身体への影響を受けやすい、と注意を促しています。

体質と飲酒の関係

お酒を飲んだときに、顔が赤くなりやすいですか?
そういう人は、アルコールを分解する酵素のはたらきが、遺伝的に弱い可能性が高いです。
実は日本では41%程度の人が、遺伝的に分解酵素のはたらきが弱いそうなのです。そして、その体質は遺伝で決まっているものなので変わりません。

アルコール分解酵素のはたらきが弱い場合、顔が赤くなる、動機や吐き気がするなどの「フラッシング反応」を起こしやすい。「そのような人が、長年飲酒して、不快にならずに飲酒できるようになった場合でも、アルコールを原因とする口の中のがんや食道がん等のリスクが非常に高くなる」と、警鐘を鳴らします。

アルコールの量と病気のリスクの関係

ところで、今回の「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」に関するメディア報道を見ていると、「生活習慣病のリスクを高める量」として次の目安がよく紹介されています。

「1日当たりの純アルコール摂取量が男性 40g以上、女性 20g以上」

純アルコール量40gがどのぐらいかと言えば、
ビール(5%)500ml缶2本/チューハイ(7%)350ml缶2本/ワイン(12%)グラス3杯/日本酒(15%)2合

ただし、この量を超えなければ生活習慣病のリスクは上がらないのかと言えば、決してそうではありません。ガイドラインでも、「高血圧や男性の食道がん、女性の出血性脳卒中などの場合は、たとえ少量であっても飲酒自体が発症リスクを上げてしまう」など、少量であっても病気を増やす可能性があることをちゃんと指摘しています。
そして、どのぐらいの量から各病気のリスクが上がるのか、男女別に端的に示した表を紹介しています(表1)。これはすべて、日本人に対する研究結果をもとにしているそうです。
「0g<」となっているのは、たとえ飲みすぎなくても、ほんの少しの飲酒でリスクが上がるということです。

最近では、お酒をあえて飲まない「ソバーキュリアス」というライフスタイルも増えています。ちなみに、「ソバー(sober):酔っていない、しらふの」と「キュリアス(curious):好奇心の強い」を組み合わせた造語です。

ただ、晩酌などお酒を飲む習慣のある人にとっては、お酒を飲む時間は日々の疲れを癒したり、家族や友人らと会話を楽しむひと時だったりしますよね。今回ご紹介したようなリスクもちゃんと知った上で楽しんでほしいと思います。
ちなみに、ガイドラインは割とコンパクトに書かれているので、興味のある方はぜひ読んでみてください。

◎参照
厚生労働省「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」を公表します
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_37908.html

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