手足口病は大人にも
2019.08.01
手足口病が流行しています。
名前のとおり、手や足、口の中に水疱性の発疹が出るという手足口病。
「子どもの病気」というイメージが強いですが、大人がかかることもあるということ、ご存知ですか?
大人が手足口病にかかった場合、子どもよりも重症になりやすいので、注意が必要です。
手足口病が過去最多
国立感染症研究所は、7月8日から14日までの1週間における手足口病の患者報告数(全国の約3,000カ所の小児科定点医療機関が報告する数)が一医療機関あたり12.64人だったことをこのほど発表しました。
これは、1981年の統計開始以来、過去最多の数だそうです。
手足口病は「三大夏風邪」のひとつと言われるように、夏に流行する感染症。
例年、6~8月に流行のピークを迎えます。
手足口病の原因は
手足口病は、ウイルス性の感染症です。
原因となるウイルスは、コクサッキーウイルスA6、A16やエンテロウイルス71 など。
これらのウイルスが、次のような経路で感染します。
・飛沫感染
……咳やくしゃみで飛び散ったしぶきに含まれたウイルスが口の中に入り感染すること
・接触感染
……水疱の中身や便に排出されたウイルスを手などでふれ、その手で口や鼻の粘膜にふれて感染すること
・糞口感染
……便のなかに排泄されたウイルスが口に入って感染すること
※治ったあとでも、比較的長い間、便からウイルスが排出されます
つまりは、手や口などを介して感染することが多いため、手足口病の予防には手洗い・うがいが大切です。
手足口病に大人がかかったら
手足口病は、患者さんの半数が2歳以下と言われているほど、乳幼児に多い感染症です。
大人の場合、過去に感染して免疫がある場合が多いのです。
ただし、手足口病の原因ウイルスには前述のとおり複数あります。
そのため、子どもの頃にかかったことのある人も、安心はできません。
感染したことのないウイルスにあたれば、大人であっても発症してしまうことがあるのです。
なおかつ、大人の手足口病のほうが、症状が強く出やすいとの報告もあります。
たとえば、「足にできた水疱が痛くて歩けない、靴が履けない」「インフルエンザのように全身の倦怠感がある」といった声も。
手足口病を治す薬はない
では、手足口病にかかったら、どうすればよいのでしょうか?
まず、手足口病に効く治療薬(抗ウイルス薬)はありません。
基本的には、症状をやわらげるための対症療法を行います。
たとえば、口の中の発疹がひどくて食事や水分を取れないときには点滴で水分を補給する、手・足・口の発疹に対しては炎症を抑える薬を使う、熱が出たら解熱剤を使う……など。
「手足口病を治す薬はない」と聞くと、怖いなと思うかもしれません。
でも、軽症のことが多く、基本的には数日のうちに治ります。
そのため、症状がひどくなければ、自宅で様子をみてもいいでしょう。
ただ、まれに重症な合併症を引き起こすこともあるので、痛みが強い、高熱が出る、熱が下がらない、嘔吐する、頭が痛い、視線が合わない、ぐったりしている……といった症状がある場合には、すぐに病医院にかかってください。