“内臓脂肪ダイエット本”が人気
2019.07.01
最近、「内臓脂肪」に関する本が売れています。
池谷敏郎先生の『50歳を過ぎても体脂肪率10%の名医が教える 内臓脂肪を落とす最強メソッド』や江部康二先生の『内臓脂肪がストンと落ちる食事術』など、医師が書く、“内臓脂肪ダイエット本”がベストセラーになっています。
ダイエットは、今も昔も変わらず、多くの人がめざすこと。
でも、前述の2冊の本がベストセラーとなっていることを考えると、
ただ「痩せたい」「体重を落とたい」というところから、人々の願いはちょっと進化しているのかもしれません。
脂肪は3種類
一昔前までは内臓脂肪も皮下脂肪もひとくくりに、「脂肪を減らしたい」だったのが、
「内臓脂肪を落とす」ことが本のタイトルにもなっているのです。
つまりは、脂肪ではなく、「内臓脂肪が悪い」ということがちゃんと認知されてきたということでしょう。
念のために説明すると、脂肪には、皮膚のすぐ下につく「皮下脂肪」と、お腹まわりにつく「内臓脂肪」があります。
健康診断で腹囲を測るのは、この内臓脂肪のつき具合いをチェックするためです。
基本的には、皮下脂肪と内臓脂肪の2つですが、これらに入りきらなくなった脂肪が、本来つくべき場所ではない心臓や肝臓といった臓器やそのまわりにつくことがあります。それを「異所性脂肪」と言います。
このうち、健康上の問題を引き起こすのは、内臓脂肪と異所性脂肪です。
肥満、高血圧、高血糖、脂質異常が血管事故のリスクを高める
心臓病や脳卒中などのこわい血管事故をまねきやすい病態として知られている「メタボリックシンドローム」は、日本語では、「内臓脂肪症候群」です。
内臓脂肪型肥満に、高血圧や高血糖、脂質代謝異常が組み合わさった状態のこと。
これら一つひとつも、動脈硬化を促進することがわかっていますが、組み合わさると、さらに動脈硬化を進め、その先に心臓病や脳卒中などを引き起こす危険性が高まるのです。
内臓脂肪型肥満、高血圧、高血糖、脂質代謝異常と、喫煙のうち1つでも持っていると、心臓病や脳卒中のリスクが3倍高まり、2つ、3つ……と当てはまるものが増えるにつれて、3倍ずつリスクが高くなる――という指摘もあります。
内臓脂肪の落とし方
内臓脂肪型肥満があると、高血圧、高血糖、脂質代謝異常が起こりやすくなります。
だから、増え過ぎた内臓脂肪は落とさなければいけないのです。
ただ、内臓脂肪は、落としやすい脂肪です。
ダイエットをしたときに、皮下脂肪よりも先に落ちやすいのが内臓脂肪。
その方法はと言えば、『50歳を過ぎても体脂肪率10%の名医が教える 内臓脂肪を落とす最強メソッド』でも、『内臓脂肪がストンと落ちる食事術』でも、強調しているのは食事です。
とくに、糖質を減らすこと(ただし、どこまで糖質を減らすかという考え方には、2人の先生の間に差があります)。
いずれにしても、運動だけで内臓脂肪を減らすのは至難の業なので、やっぱり食事の見直しが欠かせません。
そして、高血圧や高血糖、脂質代謝異常といった生活習慣病も、それらが招くこわい病気のことを考えれば、放っておくわけにはいきません。健康診断や人間ドックで指摘された方は、そのままにしないで、検査・治療を受けましょう。