がんの3年生存率は平均7割
2018.10.01
がんの治療成績と言えば、「5年生存率」がよく使われます。
多くのがんにおいて、5年後の状況が、がんが治ったかどうかの目安の一つになるからです。
一方で、難治性のがんの場合、「有効な診断・治療法の開発が課題」であり、「より早い段階での生存率をタイムリーに観察していくことの必要性」も指摘されています。
そこで、このほど、国立がん研究センターは、がんと診断された人が3年後に生存している割合を示す「3年生存率」をはじめて公表しました。
手術したがん患者の3年生存率は9割
今回公表されたのは、2011年にがんと診断された人の3年生存率です。
全国の「がん診療連携拠点病院」などのうち、生存率を9割以上把握できている268施設の患者さん30万6,381人のデータを集計・解析し、「3年相対生存率」が算出されました。
ちなみに、相対生存率とは、がん以外の病気や事故で死亡する割合を除いて調整した生存率のこと。つまり、そのがんと診断された人のうち5年後に生存している人の割合が、日本人全体で5年後に生存している人の割合に比べてどのくらい低いか、を表しています。
がん全体の3年相対生存率は、71.3%でした。
男女で分けると、男性は68.2%、女性は75.5%でした。
また、手術や内視鏡治療でがんを切除した人に限ると、88.1%と高くなっていました。
部位別のがん3年生存率
それぞれのがんの3年生存率は次のとおりです。
・胃がん 74.3%
・大腸がん 78.1%(結腸がん77.1%、直腸がん79.9%)
・肝臓がん 53.6%
・肺がん 49.4%(小細胞肺がん18.1%、非小細胞肺がん52.4%)
・乳がん 95.2%(※女性のみ)
・食道がん 52.0%
・すい臓がん 15.1%
・子宮頸がん 78.8%
・子宮体がん 85.5%
・前立腺がん 99.0%
・膀胱がん 73.5%
前立腺癌や乳がんのように9割を超えているものもある一方、すい臓がんや肺がんなど、5割を切るものもあります。
ただ、肺がんの場合、Ⅰ期に見つかれば88.0%、根治的な手術を行えば88.5%と、3年生存率は上がります。厳しいと言われるすい臓がんでも、Ⅰ期に見つかれば3年生存率は54.8%と、半数を超えます。
どんながんでも早期に見つかれば治癒率、生存率が高まることは共通しています。早期に見つけるには、症状のないうちから検診等を受けること、気になることを気軽に相談できるかかりつけ医をもつことが有用です。