ロコモと子ども
2018.05.01
「ロコモ=ロコモティブシンドローム」は、骨・関節・筋肉などの運動器の障害によって立つ・歩く・座るといった運動機能が低下した状態を指します。
ロコモといえば、高齢者の問題というイメージがありますよね。
ところが、近年、子どもたちの間に“ロコモ予備軍”が増えています。
転んだときに両手をつけず、顔面を打ってしまう
足がすぐつる
ボール投げができない
片脚立ちをしようとするとふらつく
雑巾がけができない
こうした子どもが増えているそうです。
4割の子どもがロコモ予備軍⁉
2010年から2013年の間に幼稚園児から中学生までの計1343人を対象に、次の4つの動作で運動器健診を行ったところ、4割の子どもが、ひとつ以上の動作ができませんでした。
1、片脚立ちをふらつかず5秒以上できるか?
2、しゃがみ込みができるか?(途中でとまらず、かかとを上げず、後ろへ転倒せず)
3、両腕を垂直に上げられるか?(耳の後ろまで)
4、膝を伸ばしたまま前屈し、指が楽に床につくか?
さらに、骨折をする子ども増えています。
中高生の骨折発生率は、2011年には1970年に比べて3倍以上に増えているそうです(独立行政法人日本スポーツ振興センターの統計より)。
「運動をしない」子、「同じ運動をしすぎる」子
なぜ、ロコモ予備軍の子どもが増えているのでしょうか?
その背景には、ゲームやインターネット、スマホなどを使う時間が長く、外で遊ぶ時間が減っていることがあります。
骨折が増えたのも、携帯型のゲーム機が子どもたちの間に普及してきた時期と重なっているとの指摘もあります。いまは、ゲーム機だけではなく、スマホも普及し、ますます外で遊ぶ時間は少なくなっているのではないでしょうか。
そのため、骨や関節、筋肉といった運動器が十分に発達・発育されないおそれがあるのです。
一方で、スポーツに打ち込んでいる子どもたちの間にもロコモ予備軍がいます。
それは、運動量は多くても、特定の運動ばかりしていると、使われる筋肉が偏り、使われない機能が低下したり、バランスが悪くなったりするリスクがあるのです。
いずれにしても、日常生活での動きの多様性が減っていることに問題があります。
ロコモ予防は子どものうちから
こうしたことを受けて、2016年度から学校健診の項目に「四肢の状態」が追加されました。
骨や筋肉の量のピークは、20代から30代と言われています。
幼少期、10代というのは、育む大切な時期です。
ロコモ予備軍のまま大人になってしまうと、30代、40代といった若いうちから、運動器の障害が出てしまう可能性があります。
片脚立ちを5秒間キープできますか?
足の裏を床につけたまま、完全にしゃがみ込むことはできますか?
ロコモ予防、ロコモチェックは、子どものうちから。
どんな年代においても、体を動かすということがやっぱり大事ですね。
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